育成枠を考える

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07年のドラフトで四国独立リーグ愛媛マンダリンパイレーツから
育成選手指名を受けた梶本達哉が戦力外通告されました。

支配下登録もされ2軍では登板機会も与えられてただけに
1軍の壁を突破するあとひとつの何かがなく無念の結果

その育成枠を今年は2つ使うみたいで
そのひとりへあいさつを

オリックスは2日,流スカウトと山口スカウトが熊本市内の鎮西高校を訪問し,
育成ドラフト2位で指名した柿原翔樹内野手(18)に指名あいさつを行った。

高校生を育成選手に・・・
事前に話はしてあるんでしょうが
本人にとっても非常にリスキーな選択

大学,社会人で自分を鍛える手もあるだけに
本人のがんばり次第とはいえ酷な制度であることも確か

そんな中,この通告も

オリックスは3日,育成選手のウィルソン・マトス投手(23)と
来季の契約を結ばないと発表した。

現在バイエスタスもいますが
梶本やマトスのことも考えると気になる制度であります。

そして,こういうトライアウトも実施されて

オリックスが,高知秋季キャンプでメジャー通算16勝を挙げ,
昨年まで米独立リーグでプレーした白嗟承(ペク・チャスン)投手(31)を
テストすることが2日,分かった。
白は退団した朴賛浩投手(38)と同じく,
アマチュアフリーエージェントとしてマリナーズに入団。
5年間のマイナー生活を経て04年にメジャーに昇格し,イチローや城島らと一緒にプレーした。
08年のシーズン途中にパドレスへ移籍。
先発で6勝を挙げたが,右肘を痛め09年に戦力外となり,
10年からは独立リーグでプレーしていた。
合否のポイントは右肘の状態。
キャンプ初日の6日から合流する。

白を獲るとしても支配下か育成かと選択することになるんでしょうが
様子見なら育成かもしれません。

そんな育成枠を巡る記事をひとつ

また,育成選手の新しい地平が切り開かれた。
ロッテの岡田幸文外野手とオリックスアーロム・バルディリス内野手が今季,
育成制度出身の選手として初めて規定打席に到達したのだ。
育成枠から支配下登録され,1軍で活躍した選手は,これまでもかなり出てきている。
ただ意外だが,これまで規定打席に到達した選手は一人もいなかった。
もっとも近かったのが巨人の松本哲也外野手で,
2009年にレギュラーを獲得して129試合に出場したが,
規定打席には22打席足りない424打席で終わっていた。
投手でも巨人の山口鉄也投手が中継ぎとして4年連続60試合登板しているが,
これまで規定投球回数に到達した投手は一人もいない。
それだけに,今回の岡田とバルディリスの(特にやはり岡田の)数字が,
育成出身選手にとっては,また一つ,新しい階段を登ったものといえるわけだ。

■プロになれたのは育成制度のおかげだと岡田は言う。
「育成制度がなかったら自分はプロの世界に足を踏み入れられたかどうかも分からない」
岡田はしみじみと言っていた。
ご存知の読者も多いと思うが,岡田は栃木の作新学院から日大に進み,
同期入学には巨人の長野久義外野手がいた。
しかし大学1年生のときに左ひじを痛めて手術を余儀なくされ,わずか数カ月で退学。
その後は全足利クラブというクラブチームでプレーし,
'08年の育成ドラフトでロッテから6位指名されてプロ入りした。
「おそらく育成枠がなければ,いまの自分はいない。
こうしてプレーできるのは育成制度のおかげだし,育成制度は自分のような選手にとって,
絶対に必要な制度だと思います」
実感だと思う。
そしてこうした埋もれた選手を発掘して,育て上げる制度としての育成制度は,
当初の設立の趣旨でもあるわけだ。
ただ,一方で改めてこの制度の意味を考えさせられるニュースがあったのも事実だ。
一つはソフトバンクが,広島の社会人チーム,伯和ビクトリーズの星野雄大捕手を
育成ドラフトの指名リストに入れていたが,指名そのものができないとされたニュースだ。

■企業所属の社会人はNGで,リハビリ目的のプロはOK!?
理由は,企業所属の選手は「技術向上と社会教育」という育成制度の理念からははずれるので,
もし指名するならば支配下選手として指名すべき,
という日本野球連盟からの申し入れがあったからだという。
これは育成制度の目的を,改めて再認識させられるきっかけとなったニュースだった。
だとすれば,と思わされたのが,もう一つの広島・菊地原毅投手のニュースだった。
菊地原はプロ19年目,36歳のベテラン左腕だ。
今年は中継ぎとして5試合に登板したが,
9月13日のヤクルト戦で左アキレス腱を断裂の大けがをした。
その結果,球団は10月13日に戦力外通告をした後に,改めて育成枠での契約をするという。
見方によっては,育成枠だからこそ,星野はプロに入るチャンスをつかめるのかもしれないし,
育成制度がなければ菊地原は引退を余儀なくされるかもしれない。
しかし,制度の趣旨ということを考えると,日本野球連盟の主張はもっともだし,
菊地原のようなケースで育成枠を利用することが,
その制度の精神に沿っているかどうか……。
そこは,はなはだ疑問の湧くところでもある。

■“経費節減”の一環として育成制度を利用する球団も。
同床異夢――。
実は育成制度ができた当初から,球団によって制度に対する考え方は微妙に違っているように思う。
もちろん読んで字のごとく「育成」のために,この制度を活用しているチームもないわけではない。
その一方で,支配下登録70人枠の調整として活用したり,
極端な言い方をすれば“経費節減”の一環として,この制度を利用しているのでは,
と思える球団も少なくない。
昨年も巨人から戦力外通告を受けたベテランの藤田宗一投手が,
ソフトバンクと育成契約を結んだケースがあった。
藤田はチャンスを与えられたともとれるが,育成契約で囲い込んで,
戦力になるかどうかを判断したのではないかということもできる。
結果的にはキャンプ後に藤田は支配下登録されて,1軍登板もした。
ただもし,支配下登録されなかったら今年で39歳となったベテラン左腕が,
育成枠として1年間,1軍出場の機会はないままに時を過ごすことになったわけだ。
こんなベテランを「育成」するというのは,
明らかに制度の趣旨とは相いれないことと感じるのは筆者だけだろうか。

■支配下選手70人枠が「育成」の理念をねじ曲げる一因に。
こうした問題の根底にあるのは,やはり支配下選手70人枠にあるように思う。
この制限がある限り,はみ出た選手の行先は育成枠しかなくなる。
そうして「育成」とはかけ離れた選手契約が生まれるわけである。
支配下枠の撤廃はこれまで何度も論議の的となってきた。
ただ,その都度,流れてきた理由は「公平の原理に反する」ということだった。
資金力が豊富なチームは選手をどんどん抱えて,乏しいチームが置いていかれる。
ただ,プロ野球とは1軍が144試合のゲームを消化して,優勝を争うものであるはずだ。
だとすると選手を何人抱えようとも,
1軍登録できるのは28人であり,ベンチ入りできるのは25人,
そしてグラウンドに立てるのは9人しかいない。
選手を大勢抱えたら1軍ベンチに30人入れるというのなら話は別だが,
勝負の場では公平の原理は保たれているはずなのである。

■本来的な意味での育成制度を実現するためには?
本来的な考え方をすれば,選手の保有枠を外して,
その代わりに1軍登録が可能な人数――40人から50人が妥当のように思うが,
70人なら70人でもいいかもしれない――を決めて,
その選手に最低年俸保障するのが適切ではないか。
あとは自由に選手を獲得できる制度(もちろん年俸の下限は設定してだが)にした方が,
チーム間,チーム内の競争ももっと生まれるし,
システムとしてどれだけすっきりするかとも思うのだ。
岡田が語るように,現状では育成制度は選手をすくい上げていくためには,
必要な制度かもしれない。
ただ,もう一つの側面として,今の育成制度は,歪んだ制度でもあるわけだ。
決して終着駅ではない。
過渡期の制度であることを,球界関係者はもちろん,
ファンを含めた我々も,改めて頭に刻み込むべきだろう。

深い記事だと思いました。
育成枠に救われる選手
育成枠に翻弄される選手

巨人は資金力もありますが育成枠を存分に活かして
プロ野球を目指す若者に門戸を開いていると
週刊ベースボールの清武さんの記事を読んだことがあります。

それを囲い込みや使い捨ての養成所と取るか
本当に高潔な指名からの行動ととるかは賛否が分かれますが

オリックスを含め球団関係者に言いたいのは
プロという厳しい世界ですが
育成枠ができた当初の過ちを繰り返さないで欲しい

アフターケアもしっかりした上で育成枠を使いこなして欲しいと切に願います。




【写真は,外国人の育成枠の星となったバルディリス。性格も真面目なので成長したのだと思います。】